会社名やペンネームに使っている「pagi」という言葉は、インドネシア語で「朝」を意味します。耳なれない言葉なので聞き間違えられることが多く、風情のある「萩」とか、かわいらしい犬の「パグ」とか、私には縁のない「パリ」だと思われるようです。
 今の仕事に出会う前、インドネシアに興味のあった私は、バリ島の人影まばらな早朝の海岸に魅せられ、独学で身につけた片言のインドネシア語だけを頼りに、日本語のない暮らしをしたことがありました。友人、知人はインドネシア人か外国からの旅行者ばかりで、食べるものも現地の人が常食しているものばかり。その頃の私は、自分が日本人であることが嫌だと思っていました。
 そうは言っても私はやっぱり日本人ですから、いざ仕事となると得意な日本語を活かすしかありません。また日本を離れどっぷりとインドネシアに染まっているうちに、インドネシアにはない日本の良さが気になり始め、日本を自慢してみたい気持ちも芽生えました。身を立てる仕事を求めて日本に戻ったところ、縁あってイラストや企画の仕事を受けたのが今の仕事との出会いでした。
 その中で私に与えられた仕事のひとつに「和」をテーマにした媒体の企画編集がありました。中高年の女性をターゲットに現代に生きている日本文化の良さを伝えるためのものですから、読む方も取材をさせていただく方もアウェイな私と違って、まったくの日本寄り(?)です。果たして私が適役なのかと最初は疑問もありましたが、「それを読んだらこんな私でさえ日本が好きになってしまう編集」を心掛けました。それが効を奏したのか、内容の中心となった京都では町家の間口は狭いのが相場ですが、私の作った媒体はいろんな方にとって内容に入りこみやすいという間口の広さが好評でした。また仕事で出会った日本の伝統を守る職人さんなど、日本文化をになう方々の人柄や技の素晴らしさもあり、私自身、日本を好きになりました。つまり、私の編集が狙い通りに運んだというわけです(笑)。
 しかしながら、デザインだとかコピーだとか、制作に関する言葉は横文字が多く、作業もデスクやパソコンに向かうものなので、現場にはそれほど日本らしい雰囲気はありません。デザイン上、横文字の方が見た目にもかっこいい感じが出しやすいので使いますが、意味を伝える日本の文字のパワーにはかなうべくもありません。読む人、見る人が日本人であることを意識して、どんな内容ならどんな感じ方をするだろうか、同じ言葉でも世代や地域によって受け止められ方が違わないかなどにも配慮したいし、横書きだけでなく縦書きにならべることができるという日本語の特徴を活かしたデザインにもこだわってみたいと思います。
 日本人の心に響く制作。「和」の仕事に出会って生まれたこのテーマで、これからも探っていきたいと思います。

 広告制作の仕事でよく出会うクライアントのご要望に、「安く作りたい」というのがあります。広告ツールはお客様だけでなく私たちにも必要なので、それを安く上げたい気持ちはよくわかります。この会社案内だって無駄をなくしてできる限り安く作りたいと思いましたから。
 ただ、この「安さ」だけにこだわると、出来上がったものがいまひとつ効果を上げなかったとか、使えないので作り直す必要が出てきたなどという結果になりかねません。広告は効果があってこそ、使えるからこそお金を払ってまで作るものですので、どんなに安くできてもそれを満たさないものは全て「高い」のではないでしょうか。
 安くする方法はいくらでもあります。制作上では文字や写真、イラストなどの原稿を使い回しする、逆にデザインを流用して文字だけを変える、原稿は社内で用意するなど。印刷なら印刷方法を変えたり色校正を省略したり、時間はかかっても海外で印刷したり…。できることは全てご提案いたしますが、その際に気をつけていただきたいことが実は1点だけあります。それは目的をぶれさせないことです。
 「目的がぶれる」とは、本来目指していたものと、程度の差ではなく、方向が違ってしまうことを指します。例えば、中高年に人気の商品で、商品リーフレットをリニューアルしようということになり、顧客層拡大のために若い人をターゲットとした広告を作ろうとしたのに、安くあげるためになるべく現在のものを使い回した結果、若い人の心に響かないものになってしまったとします。これではリーフレットリニューアルは達成できても、本当の目的だった客層の開発はできません。目的をすりかえるより、予算を増やして売上をのばしていただいたほうが、費用対効果で考えれば安く作れたということになる場合もあります。
 どうしても予算の範囲でという場合は、サイズの縮小、部数の削減、あるいは目標を下げるという方法のほうが良いかもしれません。予算でお悩みの方は是非一度ご相談ください。

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